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スポニチColumn

2009年09月11日 水沼貴史[サッカー技論」
修正を維持してこその成熟


 オランダ遠征の締めくくりとして日本代表は9月9日、ガーナ戦と対戦し、4-3で見事な逆転勝ちを収めた。オランダ戦は2人しか交代枠を使わなかったが、ガーナ戦は残り時間が少なくなってどんどん選手を代えたことが功を奏した。運動量も落ちなかったし、残り15分になっても気持ちが切れなかった。

 オランダ戦後に岡田監督は3つの課題を出した。点を取る、組織で守れない時にどう守るか、メンタルで崩れない。点を取ることとメンタルは改善されていた。一方で、組織で守れない時の守備は大きな課題として残った。縦パス1本でゴールを決めてしまうのは世界レベルだが、逆に日本があの場面で1対1になるのがおかしい。どうして守備がもう1人いないのか不思議だ。意識は高く持っていたが、個人戦術の部分でどこが危ないかの理解が足りないのかもしれない。危ないと思ったらカバーが必要で、そこに甘さがあった。

 攻撃で4点を取ったのはよかった。得点した場面は単純にサイドを崩したのではなく、サイドで相手のミスを誘ったり、深くえぐってピンポイントで合わせたり、早いタイミングでクロスを入れるなど、相手のバランスが整う前にクロスを入れたことでゴールに結びつけた。突き詰めれば速く攻めたからだろう。日本はカウンターがうまくできないし、点を取ることへの貪欲さもない。「今がチャンスだ」と、たたみかける迫力もないといわれる。でも、3点取った時にはそれがあった。

 今回の遠征は有意義だった。1試合目のオランダ戦で出た課題を2試合目のガーナ戦で改善した。ただ、キャンプ中に修正し、直近の試合で実現するのはたやすい。これを8カ月後の本大会まで保てるかが問題だ。まずは10月のスコットランド戦やトーゴ戦、香港戦できちんとできるか。それでこそ今回の遠征が「いい遠征だった」と初めていえる。

 ブラジルは同じ日にワールドカップ予選のチリ戦を行い4-2で快勝した。中心選手のカカー、ルイス・ファビアーノ、ルシオら中心選手4人が出場停止、ロビーニョもケガで欠場したが、誰が出ても全く同じように戦える。そのためチームはW杯予選を戦いながらどんどん成熟している。集まる時間は短くても、高いレベルでプレーしている選手は、改善されたことをきちんと保てる。日本も欧州組と国内組を分けて考えるのではなく、同じ意識レベルでやれるようになればいい結果が出せると思う。

 ▼筆者プロフィール 水沼 貴史(みずぬま・たかし)1960年(昭35)5月28日、埼玉県出身。浦和南―法大を経て日産自動車(現横浜M)でMFとして活躍。日本代表の国際Aマッチ32試合で7得点。06年にコーチとして横浜Mに復帰、岡田監督(現日本代表監督)辞任後は監督も務めた。1メートル73、63キロ。